ローカルの協力プレイ(co-op)で遊んでいたワールドを、レンタルサーバーなどの専用サーバーへ引っ越したい。この要望は昔からありますが、2026年夏のアップデート以降、ネット上に出回っている移行手順はほぼすべて動かなくなっています。手順どおりに進めたのにツールがエラーで止まる、あるいは移行できたように見えてサーバーに入った瞬間にパルが全部消えている。そうした報告が起きるのには、はっきりした技術的な理由があります。
この記事では、実際に4人で遊んでいた協力プレイのワールドを専用サーバーへ移行した経験をもとに、いま何が起きているのか、そして何をすると取り返しがつかなくなるのかを整理します。
結論:既存の手順が動かない理由
セーブデータ移行の解説記事は、そのほとんどが palworld-save-tools というコミュニティ製のツールを前提にしています。しかしこのツールは、最新版が v0.24.0(2024年10月6日公開)のまま更新が止まっています。
一方でパルワールド側は、2026年夏のアップデートでセーブデータの保存形式を変更しました。具体的には、セーブファイルの圧縮方式が変わり、ファイル先頭の識別子が従来の PlZ から PlM 系に変わっています。ツールは変更前の形式しか読めないため、そもそもファイルを開く段階で止まります。
さらに、Level.sav の内部構造(ギルド情報、作業データ、マップ上のオブジェクトなど)のデータ配置も変わりました。仮に圧縮を解けたとしても、その先の解析でツールが落ちます。
つまり「手順が間違っている」のではなく、手順が前提にしている道具のほうが現在のゲームに追いついていないという状態です。検索して出てくる日本語の解説記事の多くは、この変更より前に書かれたものです。
いちばん危険なのは「成功したように見える」パターン
ツールがエラーで止まるだけなら、まだ被害はありません。本当に厄介なのは、移行が完了したように見えて、サーバーに接続した瞬間にパルが消えているケースです。
協力プレイのワールドでは、ホストのプレイヤー識別子(GUID)が 00000000-0000-0000-0000-000000000001 という特別な値で固定されています。専用サーバーに移すときは、これをサーバー側で新しく発行された識別子に置き換える必要があります。従来の移行ツールが行っていたのは、この置き換えのうちキャラクター本体に関する部分だけでした。
ところが実際に移行してみると、識別子はもっと多くの場所に埋め込まれています。そして専用サーバーは、ワールドを読み込むときに「存在しないプレイヤーに紐づいたデータ」を不正なものとみなし、自動的に削除します。キャラクターだけ直しても、パルの持ち主情報やギルドの所属情報、パルボックスの各スロットが古い識別子を指したままだと、そこにいるパルはサーバーによって消されます。
ログにもエラーは出ません。ゲームに入って初めて、パルボックスが空になっていることに気づきます。
識別子が埋め込まれている場所
移行時に整合を取る必要がある箇所は、少なくとも次の4種類にわたります。
| 箇所 | 放置した場合に起きること |
|---|---|
| キャラクター本体のデータ | 自分のキャラクターがレベル1の新規状態になる |
| パルの登録キーと持ち主情報 | サーバーがパルを不正データとみなして削除する |
| ギルドの所属メンバー情報 | 読み込み時にギルドが解散し、あわせてパルも失われる |
| パルボックス・手持ち・拠点の各スロット | スロットが空にされ、中のパルが回収されずに消える |
従来のツールが対応していたのは1番目だけです。2番目以降を直さないまま起動すると、キャラクターは無事なのにパルだけが全滅します。特に4番目の「スロットごとに持ち主の識別子を持っている」という仕様は、移行を実際に検証するまで知られていませんでした。
取り返しがつかなくなる瞬間
ここが最も重要です。専用サーバーは、起動しているあいだ約30秒ごとに自動保存を行います。
つまり、不完全な状態のセーブデータでサーバーを起動してしまうと、サーバーのメモリ上にある「パルが消えた状態」が、数十秒後にはファイルへ上書きされます。この時点で、直す前のデータは失われます。
移行後にサーバーを起動したら、まず最初の数分以内にゲーム内でパルを確認してください。異常があれば、原因を調べる前に即座にサーバーを停止することが最優先です。「とりあえず動かしたまま調べよう」が最悪の判断になります。
作業前に必ずやること
- ワールドフォルダを丸ごとコピーしてバックアップを取る。移行作業はセーブファイルの中身を直接書き換えるため、失敗したときに戻せる状態が唯一の保険になります
- 移行元(協力プレイ側)のフォルダも消さずに残しておく
- 作業中はサーバーを停止しておく。起動したままファイルを差し替えても、自動保存で元に戻されます
なお、専用サーバーはワールドを読み込むたびに、ワールドフォルダ内の backup フォルダへ日時つきのバックアップを残します。何か起きたときに、どの時点まで戻れるかを確認する材料になります。ただしこれは自動保存によって世代が流れていくため、自分で取ったバックアップの代わりにはなりません。
現時点で現実的な選択肢
公式には、協力プレイのワールドを専用サーバーへ移行する機能は用意されていません。記事の時点で、ゲーム内の操作だけで移行を完結させる方法は存在しないということです。
したがって現状の選択肢は次のいずれかになります。
- 公式の対応を待つ。データを失うリスクがゼロなのはこの選択だけです
- 新しいワールドを専用サーバーで始める。移行を諦める代わりに確実です
- セーブファイルを直接編集する。上で述べた4箇所すべての整合を取る必要があり、現行のセーブ形式に対応した道具を自分で用意することになります
3番目を選ぶ場合、検索して出てきた古い手順をそのまま実行するのが最も危険です。動かずに止まるならまだしも、中途半端に成功してパルを失う結果になりかねません。
これから専用サーバーを建てる場合
まだ協力プレイで遊んでいる段階で、いずれ専用サーバーへ移す可能性があるなら、早い段階で専用サーバーに移ってしまうほうが安全です。ワールドが育つほど、移行時に失うものが大きくなります。
レンタルサーバーの選び方や料金は、以下の記事で3社を比較しています。
サーバーを建てたあとの人数上限や倍率の変更方法は、サーバー設定の変え方にまとめています。
まとめ
2026年夏のアップデートで、パルワールドのセーブデータは保存形式と内部構造の両方が変わりました。コミュニティ製の移行ツールは2024年10月から更新が止まっており、現在のセーブファイルを読めません。
そして移行で失敗する本当の怖さは、エラーが出ないことにあります。キャラクターは無事なのにパルだけが消え、しかも約30秒後の自動保存でその状態が確定します。作業に入る前にワールドフォルダのバックアップを取ること、起動後は真っ先にパルを確認すること、異常があれば即座にサーバーを止めること。この3点だけは守ってください。
コメント